弊社取り扱い製品である、車止め・ボラード・バリカーについて、ご紹介いたします。
【目次】
はじめに、「車止め(くるまどめ)」とは、車両の交通を差し止めること、また車両が侵入しないように設けるものやその場所を指します。大きく3つに分類されています。
読み方:くるまどめ
1.車の通行を禁止するための標識や設備。
2.駐車場で、車両の行き過ぎを防ぐために設けられたブロック。
3 鉄道で、線路の行き止まりに設ける装置。
※以降に記載する「車止め」は、“ 1. 車の通行を禁止するための標識や設備 ” に分類される車止めを対象とします。
車止めの歴史は古く、ヨーロッパで人と馬車の通行を分離するために使用されたのが、始まりとされています。
日本では、当時建築金物を中心に販売していた帝金株式会社(以下、帝金と記載)が、1960 年代に製造販売に着手したのがはじまりです。
高度成⾧期を迎え目覚しい経済発展を遂げていく中で、自動車の普及率が大きく上がり、街に自動車が溢れ出しました。
利便性や効率化が上がるとともに、自動車による交通事故・公害など、様々な社会現象が問題となり、歩行者と自動車を分離することが必要とされ、日本中に車止めが設置されるようになりました。
今ではどこでも目にする上下式タイプの車止めですが、帝金株式会社が「バリカー上下式」として世界で初めて開発したもので、1966年の発売後、高度成⾧期・モータリゼーションの真っ只中、瞬く間に普及しました。
「バリカー(BARICAR)」という言葉は、帝金が作った造語でしたが、バリカー上下式が普及するにつれ、一般的に使われる言葉となりました。(詳細は車止めの呼び方でご説明します。)
国土が広く、道路や土地に余裕の多い諸外国ではあまり見かけませんが、自動車が多く効率的な土地の利用が求められる日本でこそ、求められる製品なのです。
発売当時の上下式バリカー。国会議事堂周辺にも採用されました。
「車止め」は、他に車止めポール・ボラード・バリカーなどと呼ばれることがあります。
定義がはっきりと決まっているものではありませんが、一般的には下記のような使い分けで使用されることが多いです。
最も一般的な呼び方で、車止めポールやボラード、バリカーの総称として使われています。
「バリカー(BARICAR)」という言葉は、もともと、「バリケード(BARRICADE)」と「自動車(CAR)」を組み合わせた、帝金が作った造語でしたが、バリカー上下式が普及するとともに、一般的に使われる言葉となりました。(特に建築業界で使われることが多い呼び方です。)
もとは、船を停めておくために、船をロープで固定する岸壁や桟橋に設置される金属製の杭を指す言葉で、その形状から背が低く比較的大きめの車止めをボラードと呼ぶことが多く、これまで土木業界で使われることが多い呼び方でしたが、近年は、形状に関係なくバリカー同様、車止め全般をボラードと呼ぶことが増えてきました。
2021年 3月に国土交通省でまとめられた、ボラードの設置便覧でも、車止めを「ボラード」と表記されており、ボラードという言葉が使われることが増えています。
(詳細はこれまでの車止めとこれからの車止めで説明します。)
ボラード(係船柱)
ボラード(車止め)
ボラードの設置便覧
「車止め」は、用途や環境によって様々な機能・カタチ・材質があります。
車止めを動かす必要のない箇所で使用される固定式のほかに、支柱を抜き差しできる脱着式や、支柱を地中に収納できる上下式、簡易に移動させることができる移動式など様々な種類があります。
固定式
脱着式
上下式
移動式
車止めのカタチは大きく分けて、上下式や車止めポール・ ピラーなどの単柱タイプと、横型タイプの2タイプ。
単柱タイプはクサリをかけることができ、横型は幅が広いものを設置したり、連続で設置することで人や車の横断防止の機能をもたせることができます。
単柱タイプ(ポール型・ピラー型)
横型タイプ(門型・アーチ型)
チェーン柵として
横断防止柵として
車止めの材質は、加工の容易さからステンレスやスチールが採用されることが多く、他に、鋳物・本石・コンクリート・プラスチック・ポリウレタン・ゴム等も使用されています。
ステンレス
スチール
鋳物(ダクタイル鋳鉄)
鋳物(アルミ鋳物)
本石
コンクリート(擬石)
ポリウレタン
プラスチック(再生プラスチック)
ゴム(再生ゴム)
世界的に地球温暖化が叫ばれる中、再生プラスチックで作られた「エコバリカー」が需要の高まりを見せつつあります。
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また、使用する材料だけでなく、塗装や表面仕上げ等も種類が多く、スチールでは、デザインに優れたリン酸亜鉛処理やステンレスフレーク含有のハイグレード塗装、ステンレスでは、塩害対策や高い除菌性を誇るBEP仕上げ等、用途や環境によって様々な仕様が選ばれています。
「車を止める」と書いて車止めですが、必ずしも車を物理的に止める性能を持ち合わせているわけではありません。
ここまで説明してきた、日本全国に設置されている車止めは、視覚効果・ 心理的作用による進入を「抑止」するものが大半です。
しかしながら、昨今、交差点歩道部などへの車両乗り上げ事故、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる車両暴走事故が、あとを絶ちません。
人命を守るため、車止めに物理的な「阻止」の機能が求められるようになりました。
諸外国では、トラックで人や建物に突っ込むなど、車両を使ったテロが多く発生していることもあり、大型車を物理的に止める「テロ対策ボラード」が多く設置されています。
日本では、帝金が、2015年10月、テロ対策のハイセキュリティーボラード製造の業界最大手「ATG アクセス社」と日本における戦略的パートナーとして業務提携契約を締結。人が多く集まる施設やインターネットの普及やAI 技術の進展による需要の増加により増えているデータセンターなどで、テロ対策用ボラードが設置され始めています。
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上記で紹介したテロ対策ボラードは、大型車両を止めるため、高い防衛力を維持する必要があり、一般的な道路や店舗、公園などには施工面・価格面からオーバースペックだとも言われます。
さらに、軽自動車や乗用車が猛スピードで衝突した場合、あまり強度があり過ぎると、車両が大破し運転手や同乗者に大きなダメージが加わる可能性もあります。
そこで、帝金は 「人命を守る」というスローガンを掲げ、乗用車の進入を 「阻止」する、耐衝撃性車止めハイパーボラード®の開発に取り掛かりました。実車衝突試験をくり返し行い、何度も失敗しながら、2019年一定の強度が確認された製品の開発に成功しました。
国土交通省から、2021年3月に「ボラードの設置便覧」が発刊され、車両の衝突に対して抵抗する耐衝撃性車止め「H型ボラード」と、視覚的な車両進入抑止を目的とした「N型ボラード」の2つの分類が定められ、帝金の耐衝撃性車止めハイパーボラード®もH型ボラードに分類されました(H型はHard、N型はNormalの意)。
「ボラードの設置便覧」に記載される基準は、事故の多い交差点部分に限られていますが、耐衝撃性車止めハイパーボラード®は、交差点以外の駅前ロータリー、店舗 ・公共施設の駐車場など、様々な場面で採用されています。販売から 5年間で、40,000基以上の納入実績と、機能面と施工性の良さをご評価頂き、2025年4月、国土交通省新技術情報提供システムNETIS 最高ランク 「VE 評価」の取得に至りました。
>詳しくはこちら( ピックアップ・ハイパーボラード®)
帝金が上下式バリカーを世に出して、半世紀以上が経過しました。
これからも帝金は、「創意と工夫」をモットーに、あらゆる社会ニーズに対応する「新たな創造と価値」を提案・提供し続けます。